減価償却費というのは本当に奥が深い。
不動産投資家であれば、
聞き飽きた方も多いのかもしれません。
しかし、本当にこの制度を不動産投資全体の中で
理解しきれている方はほんの一部なのではないでしょうか。
定率法、定額法、新定率法、新定額法
構造による耐用年数の違い
個人と法人での制度の違い
などなど。
これらは、一度勉強された方は知っていることでしょう。
しかし、減価償却費というのは
もっと、もっと奥の深い制度だと思います。
例えば、これらの制度の中で、どれが一番有利か?
これは、人によって異なります。
今後も物件取得をハイペースでお考えの方にとっては
できるだけ、前倒しで減価償却費を計上し
税金を抑えて、投下資本(自己資金など)の回収を早めたいでしょう。
一方で、回収のスピードよりも、
この物件の生涯キャッシュフロートータルで考えたい方
にとっては、早めに減価償却費を多く計上するということが
必ずしも有利には働きません。
例えば、1.2億円の建物、耐用年数12年、法人で物件を取得した場合。
【早期計上:当初4年間、3千万円×4年として計上する場合】
と
【定額計上:12年に渡って、1千万円/年×12年として計上する場合】
で節税額が変わってくる可能性があります。
なぜでしょう???
どちらも、「経費」として計上する額は
12年間で1.2億円です。
ただし、節税額は税率によって変わります。
節税額=経費額(減価償却費)×税率
ここでキーとなるのが、税率。
税率は法人と言えども、変化します。
400万円までの利益に対しては約22%
400~800万円までの利益に対しては約25%
800万円超の利益に対しては約38%
ということは、
仮に減価償却費計上前の利益が3千万円だったとすると
【早期計上】の場合
節税額=400万×22%+400万×25%+2,200万×38%=1024万円
12年間トータルでは、
1024万円×4年=4096万円
【定額計上】の場合
節税額=1000万×38%=380万円
12年間トータルでは、
380万円×12年=4560万円
よって、【定額計上】の方が500万円近くも
トータルで節税できていることになります。
今回は計算ばっかりで読みづらかったかもしれませんが、
お金を儲けるということは
こういう分析も必要ですね。
減価償却というシンプルな制度でも
毎年変動する税率、その他の所得
などとトータルで考えたときには
奥の深い制度ということです。
この他にも
本業の退職はいつするのか
保険はいつかけるのか
他の物件の取得をどうみるのか
物件売却はいつするのか
いろんな要素があります。
ですので、税法だけを知っていてもダメなのです。
大事なのは、今年の税金だけではありません。
今後の方針や数値の変化を考慮して
今年の減価償却費や税金をプランニングできるかどうかです。
先程の例で行けば、12年で500万円の節税です。
1年当たり40万円ほど。
プランニングのできない税理士に20万円払う
(プラス国へ40万円払う)のと
プランニングのできる税理士に40万円払うのと
どちらが得でしょうか。
もちろん、プランニングのできる税理士は
この他にも、物件購入や売却の相談にも乗ってくれるでしょう。
その他、目に見えない付加価値というものは
もっともっとあります。
《編者 塩田雅人》
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